客観性をもつ人 鬼龍院翔

前回記事ゴールデンボンバーという沼 鬼龍院翔という沼 - 主観的俯瞰で述べたように突然ゴールデンボンバー沼に堕ちた私は、ゴールデンボンバーについて更なる情報を求めてインターネットの荒波に繰り出した。

 

鬼龍院さん

まとめサイトとかに載ったときに一行の見出しになりますよね。「これが見出しになったらクリックするだろう」って思えるように心がけています。金爆・鬼龍院翔に「一発屋で終わらなかった理由」を聞いたら、ファン目線に圧倒された|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。

 

ネット上に閲覧者が口コミしたくなる面白いネタや情報を常時おとしていくだけで、プロモーションは別の意思を持った生命体のように勝手に拡散してくれるのだ。

(中略)

そもそも各メンバーのブログが人気を博するなど金爆自身のネットリテラシーが高く、特に鬼龍院が〈生粋の2ちゃんねらー〉だからこそ、ここまで徹底できたと言える。とにかく暇を持て余してネタ動画を勝手にどんどんどんどん自主制作しては、勝手にニコニコ動画に投稿するのだ。しかもウケちゃうのだから、そりゃ便利だ。

市川哲史(2016)『逆襲の〈ヴィジュアル系〉ヤンキーからオタクに受け継がれたもの』垣内出版

 

ゴールデンボンバーは既存のメディア(雑誌やTVスポット)に頼らず、ネットを効果的に使ったプロモーション方法によって世間的に大ブレイクした。YouTubeニコニコ動画の事務所公式、鬼龍院翔自身のアカウントがありPVやネタ動画を気軽に観ることができる。だから、TV番組やフェス、友人同士の会話などなんらかのキッカケでゴールデンボンバー沼に足をつけた、

ハマりかけのどニワカド新規に超絶親切!!

初心者がもっと知りたい!と思ったら即時に得られるというのは他ジャンルではまだまだ難しいこともある。またメンバー達がそれぞれブログやSNSを使っており、彼らの言葉に触れるハードルも低い。

 

そうやって徐々に日常をゴールデンボンバーに浸食されていくと、彼らの真骨頂であるライブに興味を持つのは当然であり、DVDを手に入れることとなる。

 

しかし彼らはありがちな、持ち曲を披露するだけのパフォーマンスは行わないのである。

  0.メンバーによる影アナウンス

  1. どうして今回このライブをするに至ったかを懇切丁寧に説明するオープニング
  2. パフォーマンスとやたらと挟まるMC
  3. 箸休め的ネタ動画
  4. ベタベタな恋愛演劇(挿入歌としてバラードが歌われる)
  5. パフォーマンスとやたらと挟まるMC、
  6. 初っ端のライブを行う理由に対して自分たちで答えを出すエンディング
  7. アンコール

 

このフォーマットに則って構成されていることが多い。とても物語性が強く、自分が持っているライブ観はすぐに覆される。

ゴールデンボンバーのワンマンライブはバラエティだと思っているんです。わかりやすくなくちゃいけない。僕の中でのバラエティの基礎は『めちゃイケ』で、テロップで笑いどころが出たり、オープニングで見どころを出すのもワクワクするので、ライブの予告映像にもすごく参考にしてます」ゴールデンボンバー鬼龍院翔「ライブは『めちゃイケ』を意識」 | Smart FLASH[光文社週刊誌]

 

この記事によって彼らはライブ中にバラエティ番組のエッセンスを加えているということを知った。

確かにバラエティは初めて観た人、何となしにテレビを観ている人も楽しめるものである。ゴールデンボンバーのライブとも強く繋がっている。

 

また、ライブ中の最初のMCにて

「顔と名前が一致していないお客さんもいるでしょう。今からメンバーの自己紹介をさせてください!!」

「たくさん振り付けがあるけど練習してきた人!思いっきりやってみてください。間違っても大丈夫。メンバーも間違えます。ゴールデンボンバーのライブは棒立ち大歓迎!せっかく来てくれたんだから音楽を自由に楽しんでください。」

と鬼龍院さんは毎度毎度伝える。

ゴールデンボンバーのどう見られるか、どうやったらライブに来てくれた人に楽しんでもらえるかを考え尽くしている姿勢がたまらなく好きだ。その姿勢をブレイク後も変わらず保つからこそ、《一発屋》だと揶揄されながらも2019年現在も横浜アリーナをsold outするアーティスト神奈川:横浜アリーナ | ゴールデンボンバー Official WebSiteなのではないか…と思う。

笑いの入ったライブをやってきた僕は、お客さんに伝わらないことが一番のスベりだって気がつきました。お客さんの立場になって考えるホスピタリティが重要。「色物だけどポップ」鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)×featuring16(Jin-Machine)が語るヴィジュアル系の未来