劇場版美少女戦士セーラームーンRが好きだ

 

自分の中の永遠のバイブルである、美少女戦士セーラームーンについて考えてみた。

 

月野うさぎは何故キャラクター

全員から慕われるのか

 

1はじめに

本稿では「美少女戦士セーラームーン」の作品群中で主人公月野うさぎは敵を含めた他のキャラクターから強烈に慕われているが、その原因は何であるかを明らかにすることを目的とする。そのためにまず、「美少女戦士セーラームーン」作品群から「劇場版美少女戦士セーラームーンR」を用いて前述の原因は月野うさぎの対人認知力の高さにあると主張する。

 

2「劇場版美少女戦士セーラームーンR」のあらすじ

 月野うさぎたちの前に突然現れた異星人のフィオレ。彼は幼い頃に衛と友人であったが心を悪魔の花・キセニアンに取りつかれてしまった。このキセニアンは取りついた人間を支配し憎悪に駆り立て力をもっておりフィオレを利用して地球を滅ぼそうと企んでいた。
キセニアンに支配されたフィオレに衛の言葉は当然届きもせず、しかもフィオレは衛がセーラームーンに騙されているとしてセーラームーン月野うさぎ)を憎みその命を狙う。
やがて衛はフィオレの攻撃からセーラームーンを庇い深手を負い、フィオレによってどこかに拉致されてしまう。
一方、その頃、地球に小惑星が接近しつつあった。実は、この小惑星はキセニアンの本拠地で地球上の人間たちのエナジーを奪いつくそうと考えていた。セーラー戦士はフィオレとキセニアンの野望を阻止すべく、小惑星に向かう・・・。
フィオレとの決戦の場である小惑星上で、セーラームーンを全力で守ろうとするセーラーチームの四人。フィオレはなぜ四人がセーラームーンを守ろうとするか理解できずに
「俺の苦しみはお前たちには分からない!」という。
ところがフィオレが持つ苦しみは四人がうさぎに出会う前の苦しみ、孤独感と同じであった。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/劇場版美少女戦士セーラームーンR

 

3これから主張するにあたっての準備
⑴ そもそも対人認知とは何か
「対人認知」とは他者の内面に潜む情動、意図、パーソナリティを言語的、非言語的かつ間接的、断片的情報から推論することである。対人認知は初頭効果(第一印象など最初に得た情報に強く規定される)や、後光効果(ある側面についてなされた評価が他の評価に影響を及ぼす)また、自分自身の心理状態を認知しようとする相手に投射する傾向があることから相手を正確に認知することは難しく、個人差がある。

⑵ 好意の成立条件
相手に対する好意が成立しやすい条件は主に三点ある。
A) 相手からの評価や称賛によって自尊心(自己に対する肯定的態度)を高める若しくは維持することで人間の基本的欲求の一つである自己是認欲求(自分に自信と確信を持ちたいという思い)を満たす。人間は自己是認欲求を満たす行動を志向するように動機づけられていることから自尊心を高める若しくは維持してくれる相手に対して好意を持つ。
B) 大きな失敗をしたり他人から非難されたりして自己嫌悪に陥り落ち込んだ状態、すなわち自己評価が低い状態では自分に自信がないのでちょっとした心遣いでも通常の心理状態の時よりもさらに強く感じ、相手に対して好意が成立しやすい。
C) 人は自分に好意を寄せる人に対しても同様に好意を抱く傾向にある、好意の互恵性(返報性)から相手に対して好意を持ちやすい。

 

4主張
うさぎは自身の持つ対人認知力を用いて四人の真の長所を見出し承認した。このことによって四人の自尊心は高められて自己是認欲求が満たされたと考えられる。人間は自己是認欲求を満たす行動を志向するように動機づけられていることから自尊心を高める若しくは維持してくれる相手に対して好意を持つ。→A)
また、四人はそれぞれの個性から異端者として周囲から仲間外れにされていた状態にあったが、うさぎは四人の個性の価値を認め、肯定的に考えた。四人は自己評価が低い状態にあったのでうさぎの対人認知によって生み出された発言、態度を通常の心理状態のときよりも強く感じ、好意が成立しやすい状態にあった。→B)
さらに、うさぎは四人に対して自身の持つ好意をストレートに伝えている。人は自分に好意を寄せる人にたいしても同様に好意を抱く傾向にある、好意の互恵性(返報性)から相手に対して好意を持ちやすい。→C)
以上のことから、うさぎは対人認知力の高さから亜美、レイ、まこと、美奈子の四人から強い好意を持たれて慕われるようになったと主張する。

 

5論証
レイ対うさぎを例として考える。
レイはうさぎに出会う前、無くなった指輪や財布の場所を次々と言い当てたり行方不明になった人を見つけ出したりと、霊感のある巫女として周囲から気味悪く思われており、友人と呼べる存在は一人もいなかったが、うさぎは「レイちゃんって、頑張り屋さんなんだー!!」と実は努力家であるレイの長所を見出す。うさぎのもつ対人認知力の高さがレイのもつ真の長所を見つけ出せた要因である。→A)
また、レイはうさぎと出会う前、周囲から虐げられていたことから自己評価が低い状態にあり、その時にそばにいてくれて自分に心遣いをしてくれるうさぎという存在に対して通常の心理状態に比べて強く好意を持ちやすかった、と考えられる。→B)
また好意の互恵性からうさぎが自分を褒めてくれたことによりレイもうさぎに対して好意が成立しやすい状態にあった。→C)
このA)、B)、C)の三点より、レイはうさぎに好意を強く持ち、慕うようになった。うさぎが絶体絶命の状況においてレイは自身の命を投げ打ってまでうさぎを守り抜こうとする。彼女たちは作中でも特に親友として描かれている。
亜美、まこと、美奈子についても下図で示す。

 

 f:id:tororokombu38:20191001163859j:image

 


うさぎにとどめを刺そうとしている敵・フィオレに対して瀕死の状態で四人はこのように懇願する。
ヴィーナス(美奈子)「私たちからその子をうばうのはやめて!」
ジュピター(まこと)「その子は私たちにとって、とても大事な子なんだ」
マーキュリー(亜美)「うさぎちゃんは私たちに、かけがえのないものを与えてくれた子なの」
マーズ(レイ)「うさぎに出会わなかったら、私たちずっと一人だった!」
以上より、亜美、レイ、まこと、美奈子の四人はうさぎに好意をもち、慕っていると判断できる。

 

6結論
うさぎが亜美、レイ、まこと、美奈子の四人から慕われるのはうさぎの対人認知力の高さにある。人から好意を得るためには対人認知を用いて相手の自己是認欲求を満たし相手に好意を持つことが必要であると考える。


参考文献
田豊史(2015)「セーラームーン世代の社会論」すばる舎リンケージ
杉野欽吾、亀島信也、安藤明人、小牧一裕、川端啓之
(2017)「人間関係を学ぶ心理学」福村出版
斎藤勇(2017)「人間関係の心理学 第2版」誠信出版
コトバンク ブリタニカ国際大百科事典小項目事典「対人認知」
https://kotobank.jp/word/対人認知-91414#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8
(2018年8月1日アクセス)

 

美少女戦士セーラームーンR